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【日時】
2012年10月25日(木)14:00~14:45
※聴覚障害者制度改革推進中央本部の視察の一部として実施

【視察先】
・ギャローデット大学図書館 Gallaudet University
800 Florida Avenue, NE, Washington, D.C. 20002-3695

・キャンパスマップ。メリル・ラーニングセンターとあるのが図書館所在地。
http://www.gallaudet.edu/Documents/Institutional/CampusMap-Gallaudet.pdf

【参照】
Gallaudet University図書館 のサイト:
http://www.gallaudet.edu/library.html

利用曜日・時間  曜日やサービス内容等によって異なる。
http://www.gallaudet.edu/Library/About_the_Library/Get_Library_hours.html

図書館スタッフ 14名
http://www.gallaudet.edu/Faculty-Staff/Library.html

Facebook
http://www.facebook.com/GallaudetLibrary

【図書館概要】
ギャローデット大学(Gallaudet University)は、アメリカ・ワシントンD.C.にある、主に聴覚障害者が対象の大学です。1864年、当時のリンカーン大統領が議会で署名し認可されました。アメリカ手話と書記英語をコミュニケーション手段としており、卒業生は各界で活躍しています。各国から聴覚障害を持つ学生が学び、帰国後はそれぞれの母国で活躍する人材を輩出。世界のろう運動をリードする存在です。
図書館は大学敷地の真ん中にあります。学内を移動中、何度も見かけました。
図書館は、ギャローデット大学コミュニティー内で図書館業務を提供し、ユーザーサポートすることを目的としています。聴覚障害者関係の世界最大のコレクションを持っています。
地下1階、地上2階建てで総計約400㎡。
書籍21万冊以上、8,000点以上のVHS・DVD映像資料、623,000点以上のマイクロフォーム、32万点以上の電子書籍、5万点以上の電子雑誌、4,500点以上の映像資料、70件以上のオンラインデータベースなど。これらの中には、世界中の聴覚障害者の歴史および文化に関係する未公開資料を多数含みます。

障害者対象に次のようなサービスを提供しています。
・拡大読書機
・字幕付きビデオ/DVD
・クローズドキャプションのテレビ
・文字拡大機能付きアクセシブルワークステーション
・スクリーン拡大ソフト及び大活字キーボード

もちろんスタッフは皆アメリカ手話ができ、障害者の支援技術に長けています。
さらに進んだ支援が必要な場合は、メールで事前準備可能です。サービスデスクで突然の援助要請も可能な範囲で対応します。

【小川感想】
入り口でまず目についたのが「発禁本」。期間限定の特集コーナーのようです。

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入り口近くにカウンターがあり、ここからはほぼ壁まで全体が見渡せる構造。聴覚障害者も視覚的にアクセシブルな構造です。

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古い建物ですが、エレベーターがあり、各フロアは車いすでもアクセシブル。
中央部に天井からの採光が取り入れられており、とても明るい感じがします。
フロア全体の見通しがよいのですが、逆にかくれんぼやデートには困るのでは、という冗談も聞きました。

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採光のよい建物周囲の窓際に、学習スペースが集中。省エネかつ本の焼けを防ぐ効果ありそうです。もちろん聴覚障害者も使える電話(TTY、VRS)があります。

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パソコンが10台以上並んでおり、資料確認やサイト調査、テレビ電話用に使っていました。ほとんどがMacです。

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スタディルームでは静かにという注意書きが。声も手話も禁止です。それ以外の場所は普通に会話していてもいいということかもしれません。手話会話している学生もいましたし、日本からの見学者も声で話していて、特に注意を受けることはありませんでした。学生は積極的にPCを利用しているように見えました。

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スタディルームの張り紙。手話も含め、会話するなら室外で、とあります。
スタディルームにも拡大読書機があります。盲ろうの学生もいるというので、積極的に利用されているのでしょう。こちらのPCはWindowsもありました。

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図書館の役目として、スタジオ機能、映像発信機能を持つところも増えてきています。ギャロ大にも撮影用のスタジオ、ビデオ撮影機材がありました。
棚にはろう者向け、難聴者向けにそれぞれビデオ、DVDが並んで居ます。

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トイレの場所がわからずまごついていると、通行中の人がすかさず聴いてくれました。なんともフレンドリー!
トイレには手洗いの方法手順の画像が。手をあらう文化のないところからも、学生が来るのでしょうか?見て分かる方法です。

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火災警報器は、聴覚障害者も見てわかるようなストロボ式になっています。ダレス国際空港や駅にあるのもストロボ式でした。規格品なのか、どこにあるものも、形がよく似ていました。

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カウンターにいた司書のスーザン・デイビスさんとお話ししました。日本から来た難聴の図書館関係者です、と自己紹介したらびっくりしていました。この図書館は聴覚障害者にとってとてもアクセシブルですばらしい、と言ったら喜んでくれました。日本の聴覚障害者もがんばってほしいと言われました。
スーザンさんのお話によると、図書館のスタッフは14人。
スーザンさんはボルチモア大学で1975年に図書館勤務開始、89年にギャローデット大学図書館のスタッフに。様々な図書館サービスの開発運営に関わっています。
図書館間貸し出し事業、電子データ管理のようなギャローデットのいくつかのライブラリー公共事業を開発・管理されました。レファレンス・サービスおよび選書にも関わっています。2006年には、コレクション管理部に移動しました。
スーザンさんは2011年の7月に正職員を辞めましたが、現在もボランティアで様々なプロジェクトを支援しています。
ギャローデット大学で大変だったことは?と聞くと、入った当初、手話でのコミ方法に困った、と言ってました。お会いしたときはとても流暢なASL(アメリカ手話)で通訳のろう者と会話していました。
長い勤務期間中、様々な学生と出会っています。ろう者も活字にアクセシブルな環境があればh、それまで本を知らなくても本を読む事を覚えるようになる、私はそれを見てきました、というお話がとても印象に残りました。
現在、運営は若い人に任せるようになってきました。ろう学生にも手伝ってもらっているそうです。写真の右から二番目がスーザンさん。左端がボランティアのろう学生です。

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ネット上のサイトの活用にも特徴があります。サイトなら聴覚障害があってもアクセシブルで、活発に活用しています。帰国後にチェックしたのですが、大学図書館に関する様々な案内があり、中には学生が図書館で仕事を得るにはどうしたらよいか?というものまであります。
図書館専用のFacebookページがあり、ひんぱんに書き込みされています。
オープン時間がしばしば変更されているようで、その案内も主にFacebookに書き込まれているようです。
ハロウィンなどの行事あり、お茶やホットコーヒーを提供する日あり、メリハリある運営がなされ、利用者に案内されています。
単に図書館として利用するだけでなく、イベントを楽しむ雰囲気があふれています。図書館内の、ホワイトボードの落書き、スタッフ(ボランティア?)が大リーグのナショナルシリーズを見ているという書き込み、遅くまで勉強している生徒にお茶を呼びかける等。訪問中は、11/6に迫った大統領選挙が大きな話題だったのですが、選挙開票結果を軽食付きテレビ観戦する呼びかけもありました。
Facebookの活用で、ゆるくも楽しい、アットホームでフレンドリーな図書館の状況が伝わってきます。日本ではちょっと考えられない運営かもしれません。
特徴的なのはろう者の先人、活躍の紹介など、ろう者の文化を積極的に配信していることです。しかも視覚的に。大学には米国内だけでなく世界各国から聴覚障害の学生が集まります。世界中の学生がろう文化を学ぶ場、サポート役として、この図書館も大学の中心的な役割を担っていることが伺えました。

当初予定になかった、ごく短い訪問でしたが、予想外に大変充実した見学になりました。

(2012/10/25 テクニカルサポート室 小川光彦)